診療科・部門
Departments & Divisions

現在、全国で約34万人以上の方が透析医療を受けておられますが、当院の透析センターでは、約100人の方が維持透析を受けられています。かつては、透析は特殊な治療であり、 施行可能な施設も限られていました。しかし、現在では透析施設も増加し、安全に行える治療として一般化しています。そのため、高齢者や長期間透析を受ける方が増加しており、 長期透析に伴う合併症も問題となり、透析医療も質が問われる時代になりました。
当院の透析センターでは、患者さまに快適な日々の透析生活を過ごしていただくために、透析の質を高めることにも力を注いでいます。
例えば、透析で使用する水を良質に維持することが合併症の予防には重要ですが、当院では特殊なフィルターを使用して清浄な水を供給するなど、患者さまの目には見えないところにも心配りをしています。
水分・食事制限が必要になる方も多くおられますが、栄養管理科と連携し、透析導入後も食事を楽しめる生活が長く続けられるよう、日々の食生活もサポートしていくように心がけています。
当院では、内科・泌尿器科・腎臓・透析・糖尿病・アフェレシス専門医、透析認定看護師、臨床工学技士、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどが協力する医療体制を整備しています。
当院で対応困難な合併症については早期発見に努め、必要に応じて近郊の専門医療施設へご紹介しています。また、普段は他院で透析を受けられている方が出張・旅行などで当地を訪問される際の臨時透析や、
整形外科的疾患など合併症の治療目的で当院へ入院される透析患者さまの体外循環・全身管理を多数引き受けてきた実績もあります。
血液透析以外にも、閉塞性動脈硬化症や難治性ネフローゼ症候群に対するLDL吸着、炎症性腸疾患に対するリンパ球吸着、エンドトキシン吸着、血漿交換療法、 DFPP等のアフェレシス治療と呼ばれる、特殊な血液浄化療法にも対応可能です。
この数年は透析患者さまに対するカルニチン投与が心機能に及ぼす影響、新しい動脈硬化のスクリーニング装置の実用性の評価、リン吸着薬による動脈硬化の進展抑制効果や血糖日内変動をはじめとする臨床研究を行ってきました。ユニークな研究としては透析患者さんへの漢方薬の効果を検討したものがあります。詳細は和田の著書である『透析医のための漢方薬テキスト-西洋医学で対応しきれない透析合併症に漢方で挑む!』(アトムス社2018年)を一読ください。これらの研究結果は毎年、日本腎臓学会総会、日本内科学会総会、日本透析医学会総会、日本アフェレシス学会総会、漢方医学国際シンポジウム(シンポジスト)などで発表し、一部は国際誌(英文)に掲載されています(代表筆頭論文:Wada K, et al. Clin Exp Nephrol 2011, Wada K, et al. Ther Apher Dial 2014, Wada K, et al. Ther Apher Dial 2015, Wada K, er al. Jpn J Nephrol 2015, Wada K, et al. Int J Nephrol Renovas Dis 2015, Wada K, et al. Ren Repl Ther 2016, Wada K, et al. Ren Repl Ther 2017など)。これらの業績により(財)老人病研究所より2015年度・優秀論文賞を授賞しております。その他に、岡山大学などとの共同研究も多数進行中です(代表論文:Geriat Gerontol Int 2018, Aging and Dis 2018など)。