診療科・部門
Departments & Divisions
当院の整形外科は1984年頃から四肢外傷、関節外科、スポーツ整形外科を三本柱とし、備後地区の中核病院として現在に至っています。 整形外科は、脊髄、末梢神経、筋、腱、脊椎、四肢骨、関節疾患、外傷など、身体の中で占める割合はとても広く、また乳幼児から学生、スポーツ選手、労働者、高齢者まで対象患者さまはさまざまです。我々は、これらの幅広い領域をひとつの整形外科領域として全人的に診て適切な判断をするように心がけています。
下肢関節
当院整形外科の中でも特に膝関節疾患の患者さまが多く、患者さまの年齢、変形の程度、期待(手術によって何を行いたいか)などを総合的に判断し、最善の治療方法を選択しています。
手術としては人工関節置換術と関節が温存できる症例に対しては高位脛骨骨切り術を精力的に行っています。昨年は人工膝関節143例に対して、高位脛骨骨切り術を100例行っています。骨切り術の術式は内側開大、外側閉鎖、ハイブリッドの大きく3種類の方法を症例にあわせて選択し、より好成績を狙えるよう改善しています。
近年強固な内固定材料が登場し、術後のリハビリ・入院期間は人工関節と殆ど同等のレベルまで早くなっています。また変形性足関節に対しては、低位脛骨骨切り術を行っており、症例によっては外反膝の外側型変形性関節症に対して大腿骨遠位部内反骨切り術による関節温存も行っています。
術前から術後のリハビリテーション、さらには仕事やスポーツ復帰、高齢者では在宅復帰支援まで総合的にコントロールしています。整形外科、リハビリテーション科や外来、病棟、地域連携部など全ての分野と協力し、我々の強みである下肢関節外科を更に向上させ、地域、また全国に向けて発信しています。
《2023年の主な手術例》 | |
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TKA | 112例(revision1) |
UKA | 32例 |
ACL-R | 39例(BTB revision3) |
HTO | 100例 |
LTO | 0例 |
DFO | 6例 |
上肢関節
近年、腱板断裂性肩関節症(腱板一次修復不能症例)に対し、リバース型人工関節置換術を行っており、
その治療は年々増加しています。
《2023年の主な手術例》 | |
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腱板断裂手術(肩) | 202例 |
関節鏡視下関節唇縫合術(肩) | 10例 |
関節鏡視下関節授動術(肩) | 27例 |
その他肩内視鏡 | 4例 |
内視鏡肘(上腕骨外側上顆炎・関節内遊離体等) | 6例 |
人工関節置換術 | 32例 |
(全人工肩関節5例、リバース型人工肩関節26例、人工骨頭置換術1例) |
外傷
骨折の治療は、(1)的確な初期治療、(2)正しい術前評価と手術計画、(3)解剖学的に正しい整復と強固な内固定、(4)不要な侵襲を加えないatraumaticな軟部組織の取り扱い、(5)個々の患者さまに合わせたリハビリテーション(6)綿密な経過観察、という外傷学の原点を愚直に貫いています。回復期リハビリテーション病棟43床が有効に機能し、大腿骨近位部骨折も執刀医が毎日目を掛けながら当院でリハビリをし、在宅復帰していただくことを目指しています。
その他の主たる疾患
肘関節の外傷・変性疾患、手の外傷・変性疾患・神経麻痺、変形性足関節症、変形性股関節症、外反母趾、骨粗鬆症、関節リウマチ、脊椎圧迫骨折、腰部脊柱管狭窄症、四肢血流障害に基づく足部壊疽など。
外来患者数 | 30,561人 |
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平均在院日数 | 24.8日 |
手術件数 | 1,569例 |
手術件数 | |
スポーツ | 151例 |
交通事故 | 58例 |
労災事故 | 23例 |
その他の外傷 | 490例 |
疾 患 | 847例 |
・各年の1月1日から12月31日までの手術室で行われた件数です。
・診療報酬点数表の「手術」であっても、外来等で行われたものは含みません。
・同一日で1症例に多数箇所の手術をしても、主たるもの1件として集計しています。
手術症例の内訳(2023年) | |||
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外傷 | 骨折手術 | 上肢 | 148件 |
下肢 | 188件 | ||
骨盤 | 0件 | ||
偽関節手術 | 2件 | ||
その他 | 9件 | ||
関節 | 鏡視下ACL再建 | 37件 | |
鏡視下半月板手術 | 59件 | ||
鏡視下肩手術 | 220件 | ||
鏡視下手術その他 | 125件 | ||
骨盤骨切り | 0件 | ||
下肢骨切り | 108件 | ||
人工関節 | THA | 48件 | |
TKA(UKAを含む) | 144件 | ||
TEA | 1件 | ||
その他(肩・手関節・指) | 32件 | ||
その他 | 8件 | ||
脊椎・脊髄 | 頚椎 | 9件 | |
胸椎 | 0件 | ||
腰椎 | 49件 | ||
脊椎・脊髄腫瘍 | 0件 | ||
その他 | 0件 | ||
小児 | 先天脱臼 | 骨盤骨切り | 0件 |
観血的整復術 | 0件 | ||
その他 | 0件 | ||
斜頚 | 0件 | ||
内反足 | その他 | 0件 | |
ペルテス病 | 0件 | ||
大腿骨頭すべり症 | 0件 | ||
骨延長・矯正など | 0件 | ||
その他 | 0件 | ||
腫瘍 | 生検 | 0件 | |
骨腫瘍 | 良性 | 1件 | |
悪性 | 0件 | ||
軟部腫瘍 | 良性 | 11件 | |
悪性 | 0件 | ||
手 | 絞扼性神経障害 | 39件 | |
ばね指 | 40件 | ||
腱 | 6件 | ||
先天奇形 | 0件 | ||
その他 | 9件 | ||
足関節・足 | 足関節固定(鏡視下含む | 1件 | |
外反母趾 | 5件 | ||
足跡形成術 | 0件 | ||
その他 | 36件 | ||
切断 | 上肢 | 0件 | |
下肢 | 33件 | ||
感染 | 切開排膿 | 6件 | |
掻爬+α | 30件 | ||
抜釘・その他 | 165件 | ||
総手術件数 | 1,569件 |
スポーツ選手(学生、アマチュア、社会人)の障害に対して、予防の啓発、早期発見、早期介入、適切な手術、スポーツ復帰に至るまで一貫した管理を行っており、監督やコーチからも厚い信頼をいただいています。 近年はリハビリテーションスタッフを更に充実させ、きめ細かい指導を行っています。
関節リウマチおよびその類縁疾患を専門医が対応します。当院のリウマチ・膠原病専門外来とお互いの特長を生かしながら密に連携しています。 多くの内科的合併症をお持ちの方に対する積極的な薬物療法は膠原病内科の得意とするところでありますが、リウマチ患者さまが最初に訪れる科はやはり整形外科であることが多く、 関節破壊に至らしめないよう早期診断と薬物療法、また個々の関節や腱の障害に対しては私どもで積極的に手術を行っています。
疾患、外傷の守備範囲は多岐にわたり、整形外科全般を満遍なく経験することができます。大変忙しい診療科ですが、その分経験した知識や技術、 病態に対するものの考え方は生涯の糧になるでしょう。2年後には必ずや大満足で巣立っていただけると自負しています。見学などいつでも受け入れますのでご連絡ください。
過去5年分の学会・研究会等での発表・報告実績
第67回日本リウマチ学会総会・学術集会
「生物学的製剤を併用した関節リウマチ患者に対する高位脛骨骨切り術の経験」
演者:〇髙原康弘
第96回日本整形外科学会学術総会
「Current concepts in osteotomy around the knee. Indication and limitation of OWHTO and hybrid CWHTO」
演者:〇髙原康弘
第60回日本リハビリテーション医学会学術集会
「生物学的製剤を併用した関節リウマチ患者に対する高位脛骨骨切り術の経験」
演者:〇髙原康弘
第2回中国・四国Knee Osteotomy研究会
「外傷から3分の1の点をヒンジポイントにした高位脛骨骨切り術」
演者:〇内田陽一郎
第50回日本肩関節学会学術集会
「腱板大・広範囲断裂に対するbiceps reroutingの治療実績」
演者:〇加藤久佳 岩﨑祐一 德田昂太郎 名越 充 田島貴文
第50回日本肩関節学会学術集会
「リバース型人工肩関節置換術後の異所性骨化の発生率と臨床成績」
演者:〇德田昂太郎 加藤久佳 岩﨑祐一 田島貴文 名越 充
第2回愛媛肩関節外科研究会
「再手術を要した外傷性肩関節前方不安定証の一例」
演者:〇塚原 良 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷 智 岩﨑祐一 德田昂太郎 神村直人
第2回愛媛肩関節外科研究会
「腱板断裂治療の進化Computer-Assisted Orthopedic Surger」
演者:〇加藤久佳
第56回中国四国整形外科学会
「膝周囲骨切り術の適応と限界」
演者:〇髙原康弘
基本から学ぶ肩関節疾患Webinar(診断~手術)
「症例に応じた直視下肩関節の手術のアプローチ」
「骨折におけるRTSAの治療経験」
演者:〇加藤久佳
JOSKAS-JOSSM 2022
「Hybrid CWHTOにおいて術後下肢アライメントがKOOSに与える影響」
演者:〇髙原康弘
第2回日本Knee Osteotomy and Joint Preservation 研究会
「日Hybrid CWHTO においてアライメントが臨床成績に与える影響」
演者:〇髙原康弘 横井 脩 井谷 智 佐藤雄亮 德田昂太郎 岩﨑祐一 内田陽一郎
広川将之 島谷美香 中島裕貴 加藤久佳
第2回日本Knee Osteotomy and Joint Preservation 研究会
「CWHTOにおける術後下肢アライメントが術後成績に与える影響についての検討」
演者:〇横井 脩 髙原康弘 井谷 智 佐藤雄亮 岩﨑祐一 德田昂太郎 内田陽一郎
加藤久佳 広川将之 島谷美香
第49回日本肩関節学会
「On-Lay型RSA術後の上腕骨大結節の骨吸収と臨床成績の検討」
演者:〇加藤久佳 岩﨑祐一 田島貴文 名越 充
Orthopaedics Vol.35 No.1 P.53-60 2022
「靭帯(1):内側側副靭帯損傷の診断と治療」
著者:〇髙原康弘 中島裕貴
第16回 岡山関節鏡・内視鏡研究会
「骨片間の転位」
著者:〇髙原康弘
広島医学 Vol.75 No.2 P80-86 2022
「日常診療で遭遇する整形外科疾患-不可逆的組織障害に至らしめない疼痛の鑑別と管理-」
著者:〇内田陽一郎
The 1st EQUINOXE WEBINAR 2021
「Humerus lateralization」
演者:〇加藤久佳
第48回日本肩関節学会学術集会
「一次修復不能な腱板断裂に対するCofield法の治療成績」
演者:〇加藤久佳 岩﨑祐一
第74回広島医学総会
「日常診療で遭遇する整形外科疾患-不可逆的組織障害に至らしめない疼痛の鑑別と管理-」
演者:〇内田陽一郎
第9回日本Knee Osteotomy フォーラム
「Hybrid CWHTO について矯正不足が短期臨床成績に与える影響」
演者:〇髙原康弘
Hindawi (web) Vol.2020 P.6
「Hypermobile Anterior Horn of the Lateral Meniscus: A Case Report and Literature Reviewl」
著者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳
第16回 岡山関節鏡・内視鏡研究会
「当院におけるOWHTOの半月板損傷合併と治療成績」
演者:○井谷智 髙原康弘 加藤久佳 岩﨑祐一 内田陽一郎
備後リウマチ研究会
「当院の肩関節の手術について」
演者:○加藤久佳
第50回日本人工関節学会
「肩人工関節置換術後のリハビリテーション」
演者:○加藤久佳
第50回日本人工関節学会
「リバース型人工肩関節置換術(RSA)における前下方および下方screw長のNavigationの有効性について」
演者:○辻村良賢
第14回日本CAOS研究会・第26回日本最小侵襲整形外科学会
「外側半月板前節部のhypermobile meniscusに対して縫合術を施行した1例」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
第47回日本肩関節学会
「Clinical outcome of subscapularis transfer for reconstruction of massive rotator cuff」
演者:○岩﨑祐一 加藤久佳 中島裕貴
第16回山陽肩肘懇話会
「腱板断裂術後の段階的リハビリテーションとその治療成績」
演者:○加藤久佳
第45回日本足の外科学会学術集会
「70°関節鏡を併用した鏡視下踵骨骨嚢腫掻爬・人工骨移植を施行し、早期スポーツ復帰可能であったバレーボール選手の1例」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
第53回中国四国整形外科学会
「Open Wedge High Tibial Osteotomy後の抜釘の有効性」
演者:○片山晴喜
第53回中国四国整形外科学会
「膝蓋骨脱臼を伴った脛骨近位骨端線離開の1例」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
JOSKAS-JOSSM2020第12回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会・第46回一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会
「Arthroscopic Resection of Symptomatic Os Subtibiale: Reports of Two High Level Athletes」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
JOSKAS-JOSSM2020第12回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会・第46回一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会
「Clinical outcomes and return to sports in patients who underwent hybrid closed wedge high tibial osteotomy」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
Acta Medica Okayama 2019 Vol.73(6) 511-516
「Time to Bone Union after Hybrid Closed-wedge High Tibial Osteotomy」
著者:○髙原康弘 古松毅之 中島裕貴 越智宣彰 内田陽一郎 加藤久佳 中村誠 岩﨑祐一 辻村良賢
Acta Medica Okayama 2019 Vol.73(6) 537-542
「Two Cases of High Tibial Osteotomy in Patients with Rheumatoid Arthritis Treated with Biologic Disease-modifying Anti-rheumatic Drugs」
著者:○髙原康弘 西田圭一郎 中島裕貴 井谷智 内田陽一郎 加藤久佳 辻村良賢 岩﨑祐一 越智宣彰
中部日本整形外科災害外科学会雑誌 2019年 62巻273-274
「腱板大断裂・広範囲断裂に対するテープ型縫合材料を使用した関節鏡視下腱板修復術の治療成績」
著者:○中村誠 加藤久佳 井谷智 内田陽一郎
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 Vol.39 No.1 2019 124-129
「膝前十字靭帯不全を伴う変形性膝関節症に対して高位脛骨骨切りを行った3例」
著者:○髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 越智宣彰
第48回備後整形外科フォーラム
「膝関節に発生した樹枝状脂肪腫の一例」
演者:○辻村良賢 内田陽一郎 岩﨑祐一 中村誠 中島裕貴 井谷智 加藤久佳 髙原康弘
「Hybrid closed-wedge high tibial osteotomyを施行した内側型変形性膝関節症症例におけるスポーツ活動の検討」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
第15回日本股関節鏡研究会
「バスケットボール選手におけるグロインペイン」
演者:○中島裕貴 内田宗志
第133回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会
「腱板小・中断裂に対する関節鏡視下腱板修復術の再断裂の検討」
演者:○岩﨑祐一 加藤久佳 内田陽一郎 井谷智 中村誠
第15回山陽肩・肘関節懇話会
「腱板再断裂防止のための工夫」
演者:○中村誠 加藤久佳
第52回中国・四国整形外科学会
「Hybrid closed-wedge high tibial osteotomyを施行した内側型変形性膝関節症症例におけるスポーツ活動の検討」
演者:○中島裕貴 髙原康弘 内田陽一郎 加藤久佳 井谷智 辻村良賢 中村誠 岩﨑祐一
第31回Journal club
「Journal Cllub Hybrid CWHTO」
講演者:髙原康弘
第1回Osteotomies Around the Knee Basic Educational Course
「Hybrid CWHTOの作図 骨切り術後における骨癒合遷延の診断と治療」
講演者:髙原康弘
第37回山陰膝関節研究会
「膝周囲骨切り術の適応と合併症」
講演者:髙原康弘